東京国立近代美術館にて開催されている「トーマス・ルフ展」に行きました。
今回の展示で特に印象的だったのが「nude」シリーズ。
「nude」シリーズについて話す前に、まずはトーマス・ルフについて少し紹介。
トーマス・ルフ(1958-)は、ドイツ、ツェル・アム・ハルマースバッハ生まれのアーティスト。グルスキーやトーマス・シュトゥルートらとともにデュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、1990年代以降、現代の写真表現をリードしてきた存在。私たちの視覚や聴覚に深く組み込まれた「写真」というメディアそれ自体が、ルフ作品の重要なテーマのひとつである。ルフは自ら撮影したイメージだけでなく、インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで、あらゆる写真イメージを素材に用い、新たな写真表現の可能性を探求している。
1990年からスタートした「nudes」シリーズは、その名の通りヌードやポルノを題材とした作品。写真の歴史から考えると、ヌード写真はその黎明期より存在する古典的なジャンルといえる。1990年代半ば、インターネットの急速な普及はヌード写真の流通にも大きな変化をもたらした。中期以降、ルフは撮影すら自分では行わず、イメージや画像の加工処理そのものに焦点をあて、コンセプトを定めた作品を仕上げるようになる。当時、デジタル画像の探求に取り組み始めていたルフは、ネット上に氾濫するポルノサイトから画像を入手し、作品を制作した。そこで主題となるのが「デジタル画像の解体」。色調を変えたり、極端にぼかしたりと、コンピュータによるマニピュレーションを徹底的に行うことで、そのヌードの構図がわずかに認識できる程度まで加工していった。
ルフは、本シリーズの作品の意図について、ポルノグラフィティという、「見てはいけないけれど見たいもの」たちがインターネット上にいとも簡単に手に入ってしまう現代の状況に対して、問題提起をしたかったのだという。
たとえば《nudes yv16, 2000》は2000年に発表された作品で、ヌードの金髪女性が大きくクローズアップされている。しかし、わたしたちはその細部までは認識することができない。
《nudes ez 04,2001》
私はこの作品が一番好き。ポストカード買ってさっそく部屋に飾ってある。
「nude」シリーズの他にも、
《Porträt(P. Stadtbäumer) 1988》
評価の高い「Porträts」シリーズや、
《cassini 10 2009》
少年時代からの宇宙への関心を背景とする「Cassini」や「ma.r.s.」シリーズなど、
全18シリーズで構成という、日本国内での初個展にして超超豪華なラインナップ...!!
11月13日(日)までの開催だそうなので気になった方は是非足を運んでみて下さい。
グッズもとってもお洒落でオススメ。