ヌード展

ずっと楽しみにしていた『ヌード展』へ。

 

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ポスターにも大きくピックアップされている《接吻》は一番楽しみにしていた作品。

 

《接吻》は「近代彫刻の父」と称されるオーギュスト・ロダン(Francois-Auguste-Rene Rodin,1840−1917)による作品。

 

この愛し合う男女のモデルは『神曲』「地獄篇」に登場するフランチェスカ・ダ・リミニと、その夫の弟パオロ・マラテスタ。ふたりは『アーサー王伝説』に書かれた不義の恋の話を読む最中に互いの愛を確認するが、そこに突然立ち現れた夫ジョヴァンニによって、共に殺されてしまう。情熱的に抱き合うふたりの姿を表現したこの作品には、常識や世間にとらわれることのない、真実の愛の悦びという強いメッセージが込められているのだろう。

 

展示室に足を踏み入れ目に入った瞬間から、その艶かしいオーラに圧倒されてしまい涙が出てきて、しばらく止まらなかった。彫刻を見て泣いたのは初めてだったので自分でも驚いた...。

黒い展示室の壁と乳白色の肌とのコントラスト、360度どこから見ても美しい構図、吸い込まれそうに柔らかな大理石の質感、そのすべてが素晴らしくて震える。

 

《接吻》にはギリシャのペンテリコン大理石が使用されていて、この大理石は他の大理石より光が吸収されやすく、これによって肌の厚みや艶やかさをより感じやすくなるのだそう。また、重さは作品部分で3.2トン、台座を含めると約3.5トンもあるとのことで、その圧倒的な迫力がよく分かる。

 

この作品は1990年、アメリカ人の美術コレクターであるエドワード・ウォレンによって発注を受け、制作されたのだが、1913年、ウォレンの住んでいたイギリス・ルイス市の市庁舎へこの作品を貸し出したところ、不倫を扱っている上にエロティック過ぎるとの批判を受け、彼の元に戻されたという。性の倫理に厳しかった19世紀において、《接吻》のようなヌード作品は個人コレクターなどには需要があったが、公的な場所での発表は難しかったのだろう。ウォレンの没後も買い手がつかないままだったが、1953年にロンドンのテート・ギャラリーが購入し、現在はコレクションとして収蔵されている。

 

そういえば、展示解説の中にあったこの言葉が頭から離れない。

「このキスは言わば”死に導くキス”ですが、その刹那的行為をロダンは力強く、不滅な存在へと変えました。」

 

ロンドンのテート・モダンは行ってみたい美術館のひとつ。

ロンドンには他にも、V&A、ナショナル・ギャラリー、ウォレス・コレクションと行きたい美術館が山ほどあるし、大好きなアフタヌーンティーも、好きな靴のブランド・Churchも愛用している香水のJo Maloneもあるし、愛してやまないThe Smithもイギリス出身だし、今すごくロンドンに行きたくて行きたくてたまらないのです。

 

ヌード展