2020年 ベストアルバム10選

ベストアルバムのブログを書くのも今年で3回目、2020年もたくさんの素晴らしい音楽のなかで特に思い入れのある10作品を選びました。

 

West of Eden-HMLTD

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HMLTDのこのアルバムなくして2020年は語れません。数え切れないほど聴いているけれど、いつ聴いても新鮮な気分で聴くことのできるアルバムです。

West of Edenはアルバムとしての構成がパーフェクト。一曲目のThe West Is Deadでふつふつと湧き上がるような高揚感を感じ、To the Doorで一回爆発して、Mikey's Songの甘酸っぱい青春のメロディに包まれて、Where's Joanna?の謎めいた旋律でさらに爆発して、最後はWar Is Loomingの切ないギターの音色と歌声に酔いしれる。前のブログでも書いたけれど、アルバムを通して聴くとまるで演劇を一本観たかのような、ストーリー性のある実によく出来たアルバムだと思います。

特にWhere's Joanna?は大好きな曲で聴くと電撃のような、身体中でほとばしる熱狂を感じます。生で聴いたらそれはそれは最高なんだろうなぁ…

 

Collector-Disq

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こちらも今年繰り返し聴きつづけたアルバムです。Disqはウィスコンシン州マディソンを拠点に活動する5人組ロック・バンド。このアルバムがデビュー作になります。

わたしは若者特有のやるせなさや悶々とした感情を掬い取った、でも捻くれすぎない音楽がとても好きで、Disqの音楽はまさにわたしの好みど真ん中でした。若者の突拍子のなさ、疾走感、諦め、衝動、不安定さ、すべて詰めこんだアルバム!思うままにギターをかき鳴らしたぶっきらぼうな音が聴いていて気持ちいい。変にかっこつけていない歌声も等身大で好き。

中でもLonelinessは胸をきゅっと締め付けるような切なさと強さを同時に感じる、大好きな曲。終盤のボーカルの叫びからギターのソロの流れが、彼らの感情の起伏とリンクしているようでとても美しい…。これからもずっと応援したいバンド。

 

Deep Down Happy-Sports Team

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愛してやまないロンドンのSports Team、1stアルバム。

多幸感に溢れて、愛らしくて、ちょっと暑苦しくて、なんだか泣きたくなっちゃうくらいにキラキラ輝いている曲たち。このアルバムに助けられた人も多いんじゃないかなぁ。少なくともわたしはそうでした。傑作!とにかく聴いてほしい!聴き終わったあとはきっととびきりの笑顔になっているので。


Sports Team - Here's The Thing

MVもとっても可愛いのでぜひ観てね。

 

color theory-Soccer Mommy

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Soccer Mommyについてはこのブログで何度も紹介していますが懲りずに何回でも言います、Soccer Mommyは最高…。

彼女にとって2枚目となるこのアルバムは、彼女の地元アメリカ・ナッシュビルでレコーディングされたそう。

color theoryというタイトルの通り、このアルバムには3つのカラーテーマがあります。悲しみや憂鬱さのブルー、身体的な病気や感情の起伏を表すイエロー、心の闇、虚無感、喪失感のグレー。テーマに沿って曲にはかなり内省的な歌詞が多く見て取れます。メロディーも前作に比べてさらに穏やかに、奥へと向かっています。

しかし彼女の曲からは心の弱さのようなものはあまり感じません。あるのは心の闇や憂鬱を受け入れる強さと、わたしたちの心をそっと撫でるような優しさ。

ギターを引っ提げて、ただそこにある痛みを日常の延長線上で歌い上げるSoccor Mommyは誰よりも強くてかっこいい。

 

Purple Noon-Washed Out

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Washed Outはアメリカ・アトランタを拠点に活動するアーネスト・グリーンによるプロジェクトで、Purple Noonは彼の4thアルバムです。

素敵なジャケットに惹かれて聴いてみたらお気に入りになったアルバム。謂わゆるチル・ミュージックの部類に入ると思うのだけど、軽くて聴きやすいというよりは、音が何層にも重なって複雑なメロディー。Paralyzedのようにとびきりロマンチックな曲もあれば、Time to Walk Awayのようにどことなくミステリアスな曲もある。

夢のようにロマンチックでセンチメンタル、朧げで危うげな音楽は、パステルカラーの空と海をバックに、建物の淵で直立しこちらを見つめるこのジャケットの印象そのもの。夏の終わりにぴったりでよく聴いていました。

 

Cult Survivor-Sofie

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今年出たアルバムの中でもベスト3に入るくらいに好きだったSofieの1stアルバム。元々DJとして活動していたソフィー・ファトゥレッチことSofieのデビューアルバムです。以前はLAを拠点にしていたのですが、ウィーンに拠点を戻してこのアルバムの制作を始めたそうです。

初めて聴いた曲はTry to Reach Meだったのだけど、彼女の少し気怠く、でも力の抜けすぎない絶妙な歌声と異国情緒を感じる湿度高めのメロディ、メランコリックな歌詞のバランスが最高でとても印象的でした。全体を通して聴くとサイケデリックな雰囲気やドリーミーさも感じられる、聴いていて飽きさせることのないアルバムに仕上がっています。

個人的には、ここではないどこかに行きたいのにどこにも行けず、漠然とした不安と閉塞感を感じることの多かった2020年の心情とマッチして、何度も聴いて慰められた作品です。

 

Feel Feelings-Soko

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ブログを書くためにもう一度聴いたらやっぱり良すぎて泣けてしまったSoko、5年ぶりの3rdアルバム。Sokoは音楽のほかにも、モデル/女優として多方面で活躍するアーティストです。

今まで出したアルバムの中で一番の出来だと思います。Being Sad Is Not a CrimeやDon't Tell Me to Smileなど曲のタイトルから分かるように、このアルバムからは自らの痛みを受け入れようとする慰めのメッセージを感じます。今までのような夢見心地な雰囲気とセクシーさは健在のこと、今作ではより愛についての言及が目立ちます。それは自己愛でもあるし、家族や恋人、見知らぬ他人から愛されることでもあります。ひたすらに愛を渇望しているかのように歌う彼女の、愛を探す旅路のような作品です。

 

Gathering Swan-Choir Boy

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ユタ州ソルトレイクシティオルタナティブロックバンドChoir Boyの2ndアルバム。

彼らのアルバムを聴いた瞬間の衝撃は今でもよく覚えています。今年一番印象的だったアルバム。The Smithsを彷彿とさせる伸びやかなボーカルの歌声はたまらなく妖艶で、ダークネスとポップが共存するサウンドは、わたしたちの心の奥に秘められた感情をこれでもかと刺激し、共鳴し合う。

真夜中から夜明けにかけてうっすらと明けていく夜空のような、抒情的な美しさと感動を感じる作品です。ゾンビのようなジャケットや本人たちの奇抜な出立ちからは想像し難いくらいにロマンチックで繊細なアルバムなので、本当にたくさんの人に聴いてほしい…!

 

925-Sorry

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ノース・ロンドン4人組ポストパンクバンドSorryのデビュー・アルバム。デビューアルバムにして素晴らしく完成度の高い、カッコよくてクラっときてしまうような作品に仕上がっています。

Sorryの紡ぐ音は複雑で捉えようがなく、In Unisonの冒頭部分のように、不気味に歪んだメロディーからは不穏さを感じます。しかし同時に、気品に溢れているのがこのアルバムの凄いところ。予測不可能で軋んだサウンドでありながら上品さも感じられるのは、きっと一見乱暴でランダムに聴こえるけれど緻密に計算された音の重なりや展開があるからでしょう。

 

Trash Earthers-Pet Shimmers

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ブリストル出身の7人組オルタナティヴ・ロックバンドPet Shimmers。シューゲイズ・ソロアーティストのOliver Wildeによるニュープロジェクトとして結成されたそうです。Pet Shimmersは勢いよく今年2枚のアルバムを出していて、こちらは10月に出た2枚目の作品。

聴いていると実に色んな音がしてきて、少しチップチューンのようにも感じられる、実験的なサウンド。言うならばサーティーワンのポッピングシャワーを食べているかのような、パチパチと弾けて色んな味が楽しめるあの感じ?たくさんの音が重なり合って変化していく様子が、聴いていて楽しい!

前作はローファイ・ガレージな雰囲気が強かったと思うのだけど、今作でサウンドはさらに上へと開かれて、祝祭的なムードや多幸感を感じます。ハイなムードも切なさも陶酔もすべてないまぜにして詰め込んだアルバムで、聴いた後はなんともいい表せない絶妙な気分になります。これからが楽しみなアーティストです。

 

以上、2020年ベストアルバム10選でした。

2020年は予想もしなかったことが多々あった一年だったけれど、そんな中で音楽に慰められることが本当に多かった一年でした。

そしてShameやBlack Country,New Roadがニューアルバムのリリースを発表するなど、すでに2021年が待ち遠しいです。来年も素敵な音楽にたくさん出会えますように。

 

 

Oct 26

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こないだの平日、仕事終わりに新幹線に飛び乗って神戸に出かけた。

兵庫県立美術館でたまたまやっていた「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」、軽い気持ちで観に行ったら内容がとても素晴らしく胸にくるものがあって、ファッションとの向き合い方を考え直すきっかけになったとともに、自分の気持ちにも大きな変化があった。

 

最初の洋服がずらりと並んだ部屋は圧巻だった。何年も前の服も最新のコレクションもごちゃまぜになって展示されていたけれど、どれが古くてどれが新しい洋服か一目見ただけでは全く分からず、流行に左右されないミナのデザインのセンスを感じる。

 

皆川さんをはじめとするデザイナーの方たちのノートやデザイン画の展示は、彼らのインスピレーションの源を覗いているかのようでとてもわくわくした。

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皆川さんのノートにあった"平常心"とタイトルのつけられた文章が、頭からずうっと離れない。

悲しみや怒りを感じるのは自分に素直なこと。まわりに合わせようとするからこころが乱れる。願いが届かないときこそ、こころを静める。この文章からたくさんの気づきを得た。

 

最後の展示では、着てから何年も経ったミナのお洋服たちと、持ち主の記憶とがいっしょに飾られていた。大切に着られた洋服と、その思い出を読んでいくうちに、デザイナーが洋服に込めた思いと、持ち主の記憶が深くつながっていることに気づいて胸があたたかくなった。

こんなに作り手と受け手の関係が密なブランドは他にあるのだろうか?なんて素晴らしいブランドなんだろう。感動でおもわず涙が出た。

 

ファッションの世界では、毎年毎年トレンドが生み出され、たくさんの服がつくられ、消費されていく。時が立つとそのトレンドは古くなり、洋服の価値も廃れて、着られることなくタンスの奥にしまわれるか、捨てられていく。

この一連のサイクルはファッションにとって良いものなのだろうか?懐疑的になった方がいいんじゃないか、とこの旅行中に自問自答した。

自分もトレンドに流されたり、誰かがもっていて欲しくなったり、思わず衝動で買ってしまったりする。これからは、作り手の意思に共鳴したり、長く着られるデザイン/素材の洋服を選んで、メンテナンスをしながら永く長く大切に付き合っていきたい。

 

これはファッションに限らず、ほかの文化芸術にもいえることなのかなとおもう。

今の時代は、洋服はもちろん、映画も大量に作られすぎていないだろうか?とふと考えた。

映画館がたくさんの新作映画で溢れているのはとてもいいことだ。だけど、「ひとつの映画をつくる」ことには、どれだけ大きな意味があり、どれだけ多くのひとに変化をもたらすのか?

映画がもつ意味やもたらす変化の重さを十分に考えながら、作り手は映画と向き合うのが大事なのかなぁと思うし(映画に携わる人間ではないわたしがこんな大口を叩くのはとても図々しい)、わたしたち観る側も、ひとつひとつ丁寧に作品と向き合う必要があるとおもう。

話題の映画をチェックするのもいいけれど、自分が心から大切だと思う映画を、何度も見返すことはもっと素晴らしい。

 

この展覧会から、本当にたくさんの刺激をもらってたくさん考えた。

考えることは時に楽しくて時に面倒くさい。

けれど思考を止めないことは何よりも大切だから、もっともっと考えて文化芸術を愛していく!

トルーマン・カポーティ『真夏の航海』について

もうすぐ夏が終わりそうなので、夏が来る前に書いた トルーマン・カポーティ『真夏の航海』のブックレビューを載せます。

 

✴︎

 

ここ数日気温の高い日が続き、夏が近づいてきたような予感がしたのでトルーマン・カポーティ『真夏の航海』を読んだ。

最近の気候にぴったりな本であるのはもちろんのこと、物語の疾走感がとても心地よく、息をつく暇もなく一気に読み終えてしまった。

40年代のNY社交界で生きる少女のひと夏の恋を描いたこの作品は、夏のきらめきと瑞々しさに溢れている。NYの都会的な情景が見事で、主人公の台詞や内面描写よりも、この街の描写に最も心を揺り動かされた。

陽射しが反射するマンハッタンのビル群、うだるような暑さの駐車場、薄暗いマンションの寝室で飲むマティーニ、夜のクラブの妖しげなネオンライトと人々のざわめき…その細やかな情景描写は、NYに行ったことのないわたしでもまるでその場にいるかのように景色が目に浮かび、音や匂いまでも感じさせるかのような現実感がある。

 

一方できらめく都会の街とは対照的に、主人公・グレディの紡ぐ言葉はどこか乾いていて冷たい。NY上流階級の娘であるグレディは不自由のない生活をしているが、なぜかいつも居心地が悪そうで、満たされない思いを抱えている。それは恋人のクライドの存在をもってしても癒せない。

グレディは17歳と登場人物の中でも幼い年齢であるが、その発言や考え方は他の誰よりも大人びており、このちぐはぐさが印象的である。

そして彼女の身体と精神の成熟度のちぐはぐさは、NYのまばゆい明るさとグレディ言葉の冷たさというちぐはぐさと重なり、物語を一層面白くさせている。

 

さらにこのグレディの性格は、作中で登場する風船によって象徴的に表されている。

デートでクライドが買ってくれた風船はすぐにしぼんでしまい、もう一度買ってくれた豪華な風船も、誤って手から放してしまう。

恋をしても、何を与えられても退屈を紛らわすことができず、どこかへ飛んで行ってしまいたいと思うような、人生に対する諦め。そんなグレディの心情がよく現れている描写であると感じた。

 

わたしがこの作品で特に好きなのが、ラストシーンである。

実はこの小説はカポーティの死後に自宅から見つかった未完の小説である。ゆえに彼は別のラストを想定していたかもしれないが、私はこの終わり方が物語とぴったり合っていると感じる。

自暴自棄になったグレディは、クライドと彼の友人と共に車で夜道を暴走する。友人のハンドルを無理やり奪ったグレディは、「死んじまうぞ!」と切迫していう彼の台詞に、ただ「そうよ」と返し、そこで物語は終わる。

終わりに向かってものすごいスピードで進んでいく彼女たちの様子は、美しくもあり残酷でもある。グレディの乾いた一言によっていきなり終わりを告げるストーリーは、危うく破壊的な彼女の内面そのものであり、だからこそこのラストシーンが最も素晴らしいと感じたのである。

 

 『真夏の航海』は、グレディというひとりの女性が、恋という波にかき乱されながら、少女と大人の間を小さなボートで行ったり来たりするような、ひと夏の物語である。

読み終えた今、夏がやってくるのがとても待ち遠しい。

 

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思ったような夏は過ごせなかったけれど、特別夏が好きな訳ではないのでまあいいでしょう。

夏の終わりにかけて、空気がひんやりするのを感じるとわくわくしてしまう。大好きな秋が来る気配がするなぁ。

 

 

Aug 31

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昨日はお酒を飲んでかなり酔ってしまい、とっても気怠い朝を迎えた。長く夢を見た気がするけれど、断片的にしか覚えていなかった。社会人になってからほとんど仕事の夢しか見なくなって悲しい。

 

結局気分がすぐれなくて昼寝をして、夕方にようやく体を起こした。

午後5時、好きな曲を流しながら朝ごはんのサンドイッチとカフェオレを作って食べた。ひんやりとした音楽とサンドイッチの冷たさが妙にマッチして、何故だかすごく幸せな気分になった。些細なことで喜んだり落ち込んだり、わたしの情緒はいつも忙しい。

 

ここ二週間くらいは悲しくて沈んでいることが多かった。でも仕事の日は割とにこにこしているし、好きな人といる時の自分はいつもおどけてあっけらかんとしている。

どれが本当の自分なのか分からなくてなって困惑してしまう。でもきっとどれも本当のわたしなのだろう。

自分の輪郭がぼやけていく感覚が日に日に強くなっていく。そのぼやけた輪郭をなぞるように、毎日好きな音楽を聴いて自分の趣味趣向を再確認する。

頭の中で好きな音が鳴っている間は、何も考えずにその素晴らしい音色だけを享受できるのでとても気分が良い。

ベッドで音楽を聴きながら、天井をぼうっと見つめてる時間が好きなの、と言ったら笑われた。笑われようが、わたしにはこの時間が絶対に必要だし他のどんな時間よりも大切だ。

 

Plum - Album by Widowspeak | Spotify

 

 

2020年上半期ベストアルバム

2020年上半期ベストアルバム10選。

上半期と言ってももう7月末、記事を書くのが大分遅くなってしまいました…。

 

West of Eden-HMLTD

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大好きなロンドンのロックバンドHMLTD、待望のファーストアルバムが今年の2月に出ました!♡

最近はHAIMやTame Impalaのような、心地よい軽さと耳馴染みの良い音楽が流行りなのかなぁと思っているのですが、個人的にはお洒落にまとまった音楽より、軋んで歪んだ、マグマがふつふつと沸き上がるような温度の音楽を求めています。

HMLTDのこのアルバムは、1曲目のイントロから何かが起こるような高揚感があってワクワクする!アルバムとしての作りが完璧で、最後まで通して聴くとまるでひとつの演劇を鑑賞したかのような充実感を感じられます。

「To the Door」など若干おかしな曲で盛り上げつつ、途中に「Mikey's Song」のような甘酸っぱい曲を入れてくるところが、たまらなく良い…泣

「Where's Joanna?」はアルバムの中でも特に好きな一曲。不安を煽るようなサウンドとラストに向かってのテンションの上げ方が最高!

 

The Main Thing-Real Estate

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Real Estateの5thアルバム。このアルバムは、全体を通して懐かしさを感じるメロディーで溢れていて、わたしたちの心をすっと撫でていくような癒しがあります。所々で鳴り響くギターのサウンドが、切なくて美しい。特に「Falling Down」のギターはとびきり切ないです。

良い意味で変化のない、単調なアルバムだと思います。家でずっと流していても飽きない、優しさと静けさのつまった一枚です。

 

color theory-Soccer Mommy

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Soccer Mommyの2ndアルバムも、とても優しくて良かったです。Soccer Mommyは好きすぎてこのブログで何回も紹介しているけれど、彼女の歌声にはこれまで何度も助けられてきました。

Soccer Mommyの歌は歌詞もメロディーも割とメランコリックだしアップテンポな曲も少ないけれど、聴くとどんな応援ソングよりも励まされた気持ちになります。本当に、歌声がすごく好みです。

昨日も嫌なことがあって、このアルバムを聴いたらだいぶ心が平和になりました。そんなお守りのようなアルバムです。

 

Born Again-Ellis

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Ellisは前にも一度紹介した、カナダ・ハミルトン出身の新人アーティスト。

2019年はHachieとHannah Cohenという女性ソロアーティストにすごく嵌ったのだけど、Ellisの音楽にも彼女たちと通じる透明感がある気がします。

透明感と言っても、Ellisの場合は鮮明すぎない声とメロディーが朧げで静謐。霧がかった森や湖の中にいるかのような気分になります。

 

EXETER-Bladee

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year0001所属・Bladeeのアルバム、これまでの彼の作品の中でもかなりお気に入りです。

ラップはあまりたくさんは聴かないのだけど、Bladeeの楽曲にはそんな自分でも繰り返し聴いてしまう魅力があります。音が跳ねたり煌めいたり、トラックがすごく作り込まれていて聴いていて楽しく、何度聴いても飽きない。

イントロの「MIRROR(HYMN)」はとりわけ音の煌めきを強く感じます。そしてこのイントロから、Ecco2kとのコラボ曲「WONDERLAND」へのつながりが素晴らしい!「LOVESTORY」では曲の始まりから流れる、ガラスのような音と彼のひんやりとした歌声がとてもマッチしています。

 

WOMB-Purity Ring

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Purity Ringは、カナダ・モントリオールで結成し、(おそらく)現在はLAを拠点に活動するシンセ・ポップデュオ。彼らの曲を聴くのはこの5thアルバムが初めてだったのだけど、聴いた途端好きになってしまいました。

こちらのアルバムも、音が本当に煌めいている!何重にも重なった音と、ボーカルのキャッチーでスウィートな歌声とが幻想的な世界観を作り出しています。

アルバム通して聴くと、何かの儀式に参加したかのような壮大さを感じます。ジャケットのイラストもこのアルバムのイメージにぴったり。

 

Deep Down Happy-Sports Team

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ロンドンの新人ロックバンド、Sports Teamのデビューアルバム、本当に本当に、ちょっと泣きそうなくらい最高でした…!

ロンドン・シーンからは数え切れないくらい良いロックバンドが出てくるけれど、Sports Teamはそんなロンドンの中でも唯一無二の存在感を持っていると思います。

反骨精神を見せすぎず、かといって甘酸っぱすぎず、完璧なバランスで圧倒的な完成度のアルバム。このアルバムを聴いたらきっと誰でも笑顔になるんじゃないかなぁ。

全曲好きだけど、「Here it Comes Again」が特にお気に入り。印象的なボーカルに意識をもってかれがちだけど、ギターの音がすごく良い!

各々の自宅で撮影された、「Camel Crew」のMVもとっても可愛い〜

Sports Team - Camel Crew - YouTube

 

Safe Sins-Gladie

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フィラデルフィアの男女デュオ、Gladieのデビューアルバムです。

デビューアルバムなのに新人ぽくないなぁと思っていたら、2017年に解散したガールズロックトリオ、CayetanaのAugusta Kochによる新プロジェクトのようです。

メロディーはとても緩やかでドリーミーなのだけど、ボーカルの少しざらついた声がアクセントになっていて、よくあるドリーム・ポップとはひと味違う雰囲気。朝の目覚めによく合いそうです。

Collecter-Disq

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Disqはウィスコンシン州マディソンを拠点に活動している5人組ロック・バンド。

最初聴いた時はあまり印象に残っていなかったのですが、ある日アルバムの中の「Loneliness」という曲を聴いたらなんとも言えない気分になりました。青春の鬱屈した感情と、孤独と、少しの諦めが入り混じった感じ。後半にかけて少しずつ激しくなる部分は、彼らの感情が爆発していくようでとても美しい。この曲から彼らにハマり出し、ここ最近はずっとリピートしています。

「Daily Routine」のMVはほどよいチープさが可愛いです。

Disq - Daily Routine [Official Music Video] - YouTube

Disq、あのイギー・ポップもお気に入りらしい。これからの活躍が楽しみなバンドです!

 

Gathering Swans-Choir Boy

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Choir Boyによる4年ぶりのニューアルバム。

最近のニューリリースで一番衝撃を受けました。Choir Boyの音楽は、ポップとダークネスと妖艶さが共存していて、さらにどこまでも伸びやかなボーカルの歌声が、これでもかとわたしたちの胸を締め付ける。ちょっと痛いくらいに切なくて、泣きたくなるような美しさのメロディ。音楽を聴いてここまでエモーショナルな気分になるのは久しぶりでした。

「It's Over」のイントロは夜明けにみる朝日のように神秘的。「Complainer」の疾走感ときらめき。「Nites like this」の穏やかさや静けさは、夜の海の細波を連想させます。

ゾンビのようなジャケットや、本人たちの奇想天外な出で立ちからは想像できないような、繊細でロマンチックなアルバムです。

 

以上、今年も10枚選んでみました。

2020年はコロナでこれまでの日常ががらっと変わり、いつもの何倍も音楽に救われました。家に篭っていた2ヶ月間は起きている時間ずっと何かしらの音楽を聞いていて、こんなに音楽の有り難みを感じたことはないんじゃないかってくらい、好きな音楽たちに助けられていました。

こんなにパワーを貰ってばかりでいいのかなと思っていたけれど、素晴らしいと思ったアーティストのCDやレコードを購入すること・それらのアーティストを紹介することがわたしに出来ることなのかなと言う思いで、このブログを書いています。

 

最近もSokoやHotel Lux、WidowspeakにCrack Clowdなど素晴らしいニューリリースが目白押しでとってもワクワクしています!2020年後半も素敵な音楽にたくさん出逢えますように。

 

May 11

母の日に百合の花を買ったら、香りが苦手だからいらないと断られた。なぜだかすごく悲しくなって泣いた。

 

ママはわたしと恋人の話をしたいみたいだけど、わたしはパパとママの問題をまだ乗り越えていないから、新しい恋人の話はしたくない。できそうにない。

 

今日の夜ごはんは何にしようかと悩んでやっと決めたのに、ひとりぐらしの家に帰ったらごはんが用意されていて、せっかく考えたメニューがなしになって苛ついた。

 

家族の縁というのはつくづくやっかいだ。

最近は親子で歪み合ってばかりいる。

ほんの些細なことで、心と身体がバラバラになって叫びたいくらいに苦しくなる。

May 2

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人とつながる必要がない時間がしばらく続いて、自分は人とつながるのが得意ではないと気づいてしまった。得意ではないと気づくのはこれで一体何回めだろう。何度も何度も気づいて、その度にがっかりする。

 

ずっと人とつながっているととても疲れるし、すぐに自分の世界に籠りたくなるし、籠るとずいぶん長いことそこに留まり続ける。心地よいから。

 

久しぶりに何日か人と過ごして、少ししんどいと感じてしまって、やっぱり悲しい。周りの人はなんだかずっと人とつながっていても平気そう、というかむしろ楽しさを感じているようで、余計に悲しい。人と比べることほど無意味なことはないのだけど。

 

今日のお昼過ぎ、窓を開けて、大好きな音楽を耳のそばで流しながら、ベッドに横たわっていた時間が本当に幸せだった。

夕方、空が薄いブルーから濃い青に変わっていくのを眺める時間がとても好きだし、必要。ひとりでいることに慣れたし、心地よいし、案外ひとりでも生きていけそう、と思った。(けど多分無理だろう)

 

明日は何をして過ごそうかな。